歯生え薬 〜未来の歯科治療〜

2025年02月25日(火)

歯のこと

2025/02/24(月)

歯の再生治療

こんにちは。歯科衛生士の石垣です。
皆様は、昨年に歯科を賑わせたビッグニュースがあったことをご存知でしょうか。
それは世界初となる歯の再生治療薬、いわば歯生え薬の開発についてです。
今回はこちらについてお話していきます。

歯の欠損とは

歯生え薬の前に、歯のない状態(欠損)とはどういうものかお話します。
歯の欠損には大きくわけて2つの種類があります。

先天性の歯の欠損

これは生まれつき、永久歯が足りない状態になります。
永久歯が6本以上欠けている場合は先天性無歯症(せんてんせいむししょう)、6本未満の場合は部分性無歯症(ぶぶんせいむししょう)と呼ばれます。ただし、親知らずは含まれません。

後天性の歯の欠損

これは虫歯や歯周病、外傷などにより、あとから歯を失ってしまった状態のことです。

歯生え薬について

上記にてお話した、人間の永久歯が先天的に足りなくなる原因とされるのは、歯の発達を阻害する「USAG-1」と呼ばれる遺伝子といわれています。そこで、USAG-1の働きを抑制する成分を体内に投与することで、歯の芽(歯胚)の発達を助け、歯を生やそうという考えのもと作られたのが歯生え薬です。
今は先天性無歯症への治療を想定し、2024年9月から治験が開始されています。

未来の歯科治療

歯生え薬は2030年の実用化を目指して開発と治験が進められています。
現在の歯科治療では、先天性でも後天性でも歯の欠損がある場合は、義歯やインプラントなどの人工物を使った代替治療しかありません。
しかし、歯生え薬が治療の選択肢の一つになれば、自分の歯を生やすという治療が将来可能になるかもしれません。より開発が進めば、後天的に歯を失った方でも、歯科治療の幅を革命的に広げることができるのです。

歯生え薬のお話、いかがでしたでしょうか。実用化が待ち遠しいですね。
ブログでは歯科に関わるお話をたくさん紹介しておりますので、他のページもぜひ覗いてください。

参考文献 https://www.kyoto-unicap.co.jp/embark/toregem/